この記事のポイント
- 東京地方裁判所、韓国「Pantech(パンテック)」を債権者とする Google への標準必須特許侵害による販売禁止仮処分訴訟において、「Pantech」側の主張を認め、Google に対して「Pixel 7」シリーズの日本国内における販売禁止命令を含む決定を言い渡す
- 「Pantech」が特許を保有する 4G LTE 技術を Google が「Pixel 7」シリーズに無断で組み込んで販売し、特許を侵害したという内容
- Google がこの決定に対して即時抗告を行うかどうかは現時点では不明
東京地方裁判所は 2025 年 6 月 24 日(火)、韓国「Pantech(パンテック)」を債権者とする Google への標準必須特許侵害による販売禁止仮処分訴訟において、「Pantech」側の主張を認め、Google に対して「Pixel 7」シリーズの日本国内における販売禁止命令を含む決定を言い渡しました。
今回の「Pantech」の主張は、「Pantech」が特許を保有する 4G LTE 技術を Google が「Pixel 7」シリーズに無断で組み込んで販売し結果的に特許を侵害した、という内容です。具体的にこの特許は、LTE ネットワークにおいて、基地局が単体端末に受信確認信号(ACK)を送る制御信号マッピング技術に関するものであり、第 4 世代(4G)通信標準を実装する上での中核技術とされています。
東京地方裁判所は、Google の不誠実で非協力的な態度やライセンス回避行為を指摘。標準特許保有者が、その技術を実装する企業に対して、[公正(Fair)][合理的(Reasonable)]かつ[非差別的(Non-Discriminatory)]な条件でライセンスを提供しなければならないという国際基準原則「FRAND」に基づいたライセンス締結を Google が拒否しているとして、「Unwilling Licensee(不本意なライセンシー)」と判断し、「Pantech」側の主張を全面的に認めた上で今回の「Pixel 7」シリーズの日本国内販売禁止命令を含む決定となりました。
日本ではこれまで、「FRAND」原則を根拠として、標準特許侵害に対する販売禁止措置を原則として許容しない立場を取ってきましたが、今回東京地方裁判所は Google の不誠実な態度を例外的な事由と判断し、日本の司法史上(おそらく)初めてとなる標準特許侵害による販売禁止命令を含む決定が下されたわけです。Google が即時抗告せずこの決定が確定すると、Google は日本国内で[Pixel 7]シリーズの販売 / 展示 / 譲渡 / 輸入ができなくなり、訴訟費用も全額負担することになります。
これまでも今回と同様の特許侵害訴訟は、Google に限らず Apple や Samsung などに対しても行われてきましたが、裁判所が債権者側の主張を全面的に認め販売禁止命令を含む決定を言い渡した今回の事態は、極めて異例とされています。Google がこの決定に対して即時抗告を行うかどうかは現時点では不明ですが、おそらく即時抗告すると見られています。そのため、今回の東京地方裁判所の決定は、まだ確定ではありません。
現在日本では、今回の「Pixel 7」シリーズ国内販売禁止命令について、「Pantech」側の主張は電子新聞などで報じられているものの、大手メディアでの大規模な報道は比較的少ない状況にです。これは、「Pixel 7」シリーズ自体が旧機種であり、既に「Google ストア」での販売は終了していること、そして Google による即時抗告の可能性を秘めていることから、多くのメディアが静観しているためかもしれません。
とはいえ「Google ストア」では、「Pixel 7a」「Pixel 7 Pro」を対象とした「下取りプログラム」増額キャンペーン「下取りキャンペーン」がしれっと開始されているため、もしかしたら Google は、今回の訴訟における「Pixel 7」シリーズ販売禁止命令を含む決定を予見していたのかもしれません。多少話が飛躍しているかもしれませんが。
「Pantech」側は、今回の決定に留まらず、「Pixel 8」シリーズ以降の Google Pixel 全製品に対する輸入 / 販売差し止めのための仮処分訴訟を東京地方裁判所に提起し、さらに Google Pixel シリーズ全製品の輸入禁止も日本税関を通じて申請しています。というか、なぜ日本が舞台になっているのか。韓国でやってりゃいいのに。
それにしても「Pantech」、久しぶりに聞きました。懐かしい。「Pantech Pocket」、たぶん私の家のどこかで眠っています。
Source:Electronic Times
よくある質問
Q1: 何が起こりましたか?
東京地方裁判所は 2025 年 6 月 24 日(火)に、韓国「Pantech(パンテック)」を債権者とする Google への標準必須特許侵害による販売禁止仮処分訴訟において、「Pantech」側の主張を認め、Google に対して「Pixel 7」シリーズの日本国内における販売禁止命令を含む決定を言い渡しました。
Q2: 誰が訴訟を起こしたのですか?
韓国の「Pantech(パンテック)」が訴訟を起こしました。
Q3: 訴訟の理由はなんですか?
「Pantech」が特許を保有する 4G LTE 技術を Google が「Pixel 7」シリーズに無断で組み込んで販売し、特許を侵害したためです。具体的には、この特許は LTE ネットワークにおいて、基地局が単体端末に受信確認信号(ACK)を送る制御信号マッピング技術に関するものであり、第 4 世代(4G)通信標準を実装する上での中核技術とされています。
Q4: 東京地方裁判所の判決内容はどのようなものですか?
東京地方裁判所は、Google の不誠実で非協力的な態度や、ライセンス回避行為を指摘しました。東京地方裁判所は Google を「FRAND」原則に基づいたライセンス締結を拒否する「Unwilling Licensee(不本意なライセンシー)」であると判断し、「Pantech」側の主張を全面的に認め、今回の「Pixel 7」シリーズの日本国内販売禁止命令を含む決定となりました。この決定により、Google は日本国内で[Pixel 7]シリーズの販売 / 展示 / 譲渡 / 輸入ができなくなり、訴訟費用も全額負担することになります。
Q5: この判決は異例なのですか?
はい、極めて異例な事態とされています。これまでも同様の特許侵害訴訟は、Google に限らず Apple や Samsung などに対しても行われてきましたが、裁判所が債権者側の主張を全面的に認め、販売禁止命令を含む決定を言い渡したのは、日本の司法史上初めての事例です。日本はこれまで、「FRAND」原則を根拠として、標準特許侵害に対する販売禁止措置を原則として許容しない立場を取ってきましたが、今回、Google の不誠実な態度を例外的な事由と判断し、初の販売禁止命令を下しました。
Q6: 「FRAND」原則とは何ですか?
「FRAND」原則とは、標準特許の保有者がその技術を実装する企業に対して、[公正(Fair)][合理的(Reasonable)]かつ[非差別的(Non-Discriminatory)]な条件でライセンスを提供しなければならないという国際基準です。
Q7: Google は今後どうすると思われますか?
Google がこの決定に対して即時抗告を行うかどうかは現時点では不明ですが、おそらく即時抗告すると見られています。そのため、今回の東京地方裁判所の決定は、まだ確定ではありません。
Q8: 「Pantech」は「Pixel 7」シリーズ以外の製品についても訴訟を起こしていますか?
はい、「Pantech」側は、今回の決定に留まらず、「Pixel 8」シリーズ以降の Google Pixel 全製品に対する輸入 / 販売差し止めのための仮処分訴訟を東京地方裁判所に提起し、さらに Google Pixel シリーズ全製品の輸入禁止も日本税関を通じて申請しています。
Q9: 今回の決定について、大手メディアでの報道は少ないのですか?
現在日本では、今回の「Pixel 7」シリーズ国内販売禁止命令について、「Pantech」側の主張は電子新聞などで報じられているものの、大手メディアでの大規模な報道は比較的少ない状況にです。これは、「Pixel 7」シリーズ自体が旧機種であり、既に「Google ストア」での販売は終了していること、そして Google による即時抗告の可能性を秘めていることから、多くのメディアが静観しているためかもしれません。
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